はじめに
多くの企業で働き方改革が進み、会社員や主婦の間でも副業ブームが起きていますが、副業やお小遣い稼ぎの手段として使われている、クラウドソーシングという言葉をご存知でしょうか。
「好きなことで生きていく」をキャッチコピーにYouTuberやフリーランス人口も増えているので、クラウドソーシングの概念も浸透してきたように思います。
私も、複業家として活動していますので、クラウドソーシングで働くということを実際に経験してみたくて乗っかってみました。
実際の体験談を基に、クラウドソーシングについて話していきます。
- はじめに
- クラウドソーシングを使ってみて。結論はコレ!
- クラウドソーシングについて
- ランサーズで、どんな仕事をしていたか
- 実際に始めてみたものの・・・
- デメリットだけじゃない!クラウドソーシングで得たことも多い
- まとめ
クラウドソーシングを使ってみて。結論はコレ!
仕事を何件かこなした感想として、結論を先に述べますと・・・
継続的にクラウドソーシングで稼ぐのは厳しい、でもやり方次第で稼げる方法もある!という感想です。
なぜそのように感じたか、具体的な経験談を基にお伝えしていきます。
クラウドソーシングに興味あるけど、いまいち良くわからないし、評判はどうなんだろう。メリットやデメリットも知りたいなぁ。そんな風に悩んでいる人や気になる人はぜひ参考にして頂けたらと思います。
クラウドソーシングについて
クラウドソーシングとは?
英語でクラウドは群衆、ソーシングは業務委託を意味します。不特定多数の人々がネット上でやり取りを行ない目的を達成することを意味します。
クラウドソーシングは個人や企業に関わらず誰でも、ネット上で仕事の依頼や引受けを行うことができる仕組みです。
クラウドソーシングにはどんな仕事がある?
仕事の内容は、 数時間で終わる単発的な内容から継続的に行う仕事まで様々です。
システムの設計・開発を行う仕事、ネーミングやロゴ、キャッチコピーを考えたりデザインとして形にする仕事、ある事柄や市場について調査・分析する仕事、サイトに掲載する記事を執筆する仕事、等々、報酬を出してでも依頼したいことがあればなんでも仕事として募集することができます。
仕事のカテゴリだけでも数百種類あります。無数に仕事があるので、こればかりはクラウドソーシングを提供しているプラットフォームにアクセスして仕事を探してみるのが一番早いです。
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どのクラウドソーシングを使うのがおすすめ?
クラウドソーシング業界で双璧をなしているプラットフォームが「クラウドワークス 」と「ランサーズ 」です。会員数や依頼件数なども、他のプラットフォームと比較して圧倒的な数を誇ります。
【2018年6月4日時点情報】
・クラウドワークス (2012年〜)
仕事依頼数:約182万件
全仕事の検索件数:1,034,223件
登録ユーザー数:188万人
・ ランサーズ (2008年〜)
仕事依頼数:197万8377件
全仕事の検索件数:1,231,238件
依頼総額:2052億6111万8780円
比較対象が異なる点もありますが、双璧をなすだけあって仕事の数が大変豊富です。ランサーズ やクラウドワークス 以外にもたくさんのプラットフォームが存在しますが、初心者にとってはどちらかで始めるのが無難でしょう。
私もクラウドソーシングを始めるにあたり、どれを選ぶか迷いましたが、歴史も長く仕事の数が最も多いという点でランサーズ を選択しました。
ランサーズで、どんな仕事をしていたか
仕事を探す上で、闇雲に検索するのではなく、仕事を選ぶ上での軸を定めて検索しました。
軸にしていたのは、これまでの職歴の中で経験したことがあり依頼者に貢献できること、今後のキャリアやスキルアップに役に立つこと(データ入力や単純作業など根気命で体力を消耗させるような仕事は論外)の2点で、Win-Winの関係を意識していました。
結果、後述する仕事へ提案し、ライバルも多くいるなか採用されました。
ちなみに、ランサーズ では仕事を依頼して発注する人(発注者)をクライアント、仕事を探して受注する人(受注者)をランサーと呼んでいます。
ランサーズで行った仕事内容
クライアントはいくつかECサイトを運営しているようで、そのうち私は、アパレルECサイト2社を任せて頂くことになりました。
具体的な仕事内容は、ブログでの商品紹介記事や副業に関するお役立ち記事の作成、作成した記事の投稿というライター業務です。またもう一つが、アパレルECサイト2社のSNS運用業務です。
アカウントはすでにあるものの、具体的な運用方法が定まっていないとのことで、企画・立案から実際の運用まで任せて頂くことになりました。
ランサーズで請け負った仕事の報酬
月10,000円の報酬です。週に2~3時間程度の作業とのことで、上手くこなせば時給1,250円程です。
私は過去にECサイトの構築・運営経験があったのでクライアントに貢献できる自信がありましたし、SNSマーケティングに大変興味があったので、SNS運用を通してスキルアップに繋げることもできると感じ、幸いにも描いていた軸通りの仕事をゲットすることができました。
実際に始めてみたものの・・・
さて前置きが長くなりましたが、ここから実際に仕事に取り組んだ体験と私が感じたことを書いていきます。
ランサーとして採用され、仕事の依頼を受けるはずが・・・
実績や信頼のあるランサーであればダイレクトに仕事の依頼が来ますが、当然始めたばかりの私は、募集中の仕事に提案してコンペを勝ち抜かなければなりません。
仕事を獲得するために、自身のキャリアやこれまで取り組んできた実績、貢献できること等をクライアントに必死にPRしてなんとか採用されました。はじめてコンペで採用された際は嬉しくて、意気揚々と仕事を始めたことを憶えています。
採用後は、クライアントと挨拶のメッセージをやり取りし、具体的な仕事の依頼に入ります。
私は、早速出鼻をくじかれました。発注者からのメッセージで
「今回は研修という形で取り組んで頂きます。研修ということで報酬は3,000円に・・・」
え!?ほんとに!?まじ卍です。
先ほども述べましたが、報酬は月額10,000円のはずです。募集時に研修なんてことは一言も書いていませんでした。
非常に衝撃を受けたのですが、よくよく考えてみると、まぁ発注者の立場からすると選んだランサーが実際にどんなスキルを持っているかわからない時点で十分な報酬は渡したくないよなぁ、企業の新卒採用でも、たしかに試用期間があったり初回のボーナスは寸志だったりするし・・・
そういうものと思ってまずは始めてみるかと、ポジティブな気持ちでやり取りを続けました。
とは言いつつ、心の中ではやはり気になります。
他の方々の体験をネットで調べてみると…似た話が出てきます。
中には、複数人にまずは無償で仕事を依頼し、出てきた成果や出来高によりランサーを決定する、という大義名分のもと、最終的には採用せず不採用のランサーにタダ働きさせるような例が多くあるようです。
発注者の雑な依頼と増えるやり取り・・・
研修という衝撃の余韻を残しつつ、メッセージのやりとりを続けます。今回任せてもらえる仕事の範囲も決まり、併せてアパレルECサイトのURL、管理者ログインIDやパスワード等の知らせを受けます。
「とりあえず、なんとなくサイトを眺めてイメージを湧かせて下さい。」
え!?
もちろん頂いた情報を基にサイトは隅々まで確認するし、これまでのSNS投稿もチェックしますが・・・そもそも、このECサイトのコンセプト説明とか各商品の訴求ポイントとか作者の思いとか、具体的にどこをターゲットに定めているとか、将来何を見据えてECサイトのコンテンツを運営していきたいとか、そういうのはないのだろうか!?
サイトのイメージよりも先に、次々に疑問が湧いてきます。
その後も、ふわっとした仕事内容を伝えるだけで、仕事の振り方があまりにも雑であることに驚き。ただでさえメッセージ上のやり取りなので言葉の捉え方一つで全く違う方向に進む可能性もあるので、一つ一つこちらから確認します。
「今回のタスクは4点あると考えています。具体的にはかくかくしかじか。こういう人向けに、こういった訴求を行う方向性で考えています。認識に違いはありませんか?」
疑問点の確認を行えばきちんと返答してくれるので、仕事は進みます。こればかりは本当に救いなのですが、ここまでのやり取りだけでも、それなりの時間と精神を消耗させてしまいました。
私も会社員時代に、後輩に仕事を任せたり依頼する場面が度々ありましたが、振る仕事内容だけでなく経緯とか背景とか前提条件をはっきりさせた上で、具体的な仕事内容を説明するのは当然と認識していましたので、最低限の情報だけ丸投げされることに、大きなギャップを感じました。
もしかして搾取のはじまり?
あれこれ考えながらも、メッセージのやり取りを行い、ようやく仕事内容がまとまりました。仕事の依頼前に、クライアントからは「研修ということで初月は週に1時間程度の仕事をお任せしたいと思います。」といった前置きがありました。
要は「研修なので仕事は軽めですよ」ということです。
ですが、蓋を開けてみると依頼された仕事は
ECサイトのイメージを湧かせる/商品紹介記事3件作成・投稿(掲載する写真は自ら加工する)/副業に関するお役立ち記事3件の執筆・投稿(サイトへの投稿の仕方はよくわからないので好きにやって下さいと丸投げ)/2件のECサイトに関して、それぞれSNS運営の企画・立案
月中にやり取りをしていましたので、締め切りの月末まで残された時間は2週間です。つまり2時間を目安に仕上げて下さいね、ということです。
・・・
いやいや、ECサイトのイメージを湧かせて、記事を作成するくらいならどうにかなりますが(質が低くても最悪後からリライトできますし)、でもSNS運営の計画をノープランで依頼してきて短期間でやらせるって・・・しかも品質が悪かったらやり直しですよ。この仕事の振り方はひどくないですか?
企画・立案の仕事は綿密に行えば行う程はじめが一番大事だと思うのでじっくり時間をかけてやりたかったのですが、思いが伝わりませんでした。とはいえそこまで時間をかけてやりたくなかったので、結局、「まず始めてみて動きながら修正していこう」のスタンスを取ることで、あまり時間をかけずに仕事を終わらせることができました。
ランサーは搾取される運命にある!?
事あるごとに疑問は絶えませんでしたが、上述のような流れで仕事が進んだ後、お互いの立場になって考えてみました。
クライアントとしては、報酬が決められた範囲の中で、ランサーにできる限り多くの仕事を依頼したいと考えます。つまり、「相手が断らなけばラッキー。とりあえず多めに依頼しちゃえ」というスタンスになっちゃう訳です。
一方、ランサーからすると、品質の高い仕事をしないと評価が下がるし、今後継続して仕事を行う場合は報酬を下げられるかもしれない、ということで「予定以上の時間をかけてでも完成度を高めないと。。」という心理が働きます。
ランサーとして私もこのような心理が働き、信頼を損ねないために真面目に取り組みました。ですが、クライアントから「搾取されてる感」だけはどうしても拭えなかったというのが、実情です。
ちなみにランサー(lancer) という意味をご存知でしょうか?
ランサー(lancer)という英語を日本語に訳すと槍騎兵(そうきへい)という意味です。 ランサーズ は槍(やり)を持った騎兵の集まりを指します。戦いの場において槍騎兵は、歩兵にとって脅威になりますが、弓や銃を持った兵隊からするとちょろい存在のようです。何が言いたいかと言うと…
ランサー(槍兵)というのは報酬額の決定権を握っているクライアント(弓兵や銃兵)に搾取される運命にあるということです。
クラウドソーシングはシステム手数料が高すぎて儲からない
さて、搾取されるのはクライアントからだけじゃありません。運営元のランサーズ からも手数料を取られます。
ランサーズ で仕事を行わなければ、そもそも報酬を得ることができないので、仕事を提供するプラットフォームを利用する代わりに手数料を取るのは至極真当であると言われるとそれまでです。
ですが、ランサーとして働いてみて感じたのは、手数料率がやけに高いということです。
クラウドソーシング、手数料の仕組み(2018年6月4日時点)
依頼金額と手数料
20万円超部分 5%、10〜20万円部分 10%、10万円以下部分 20%
(タスク形式の場合は一律20%)
・ ランサーズ
依頼金額と手数料
20万円超部分 5%、10〜20万円部分 10%、10万円以下部分 20%
クラウドワークス もランサーズ も、手数料はランサー負担となります。
本業としてやっていくならまだしも、副業ブームに乗っかって小金を稼ごうとする人にとって高い手数料となります。
1万円の仕事を受けても実際の手取りは8,000円となり、継続的に儲けている人は手取りからさらに所得税など差し引かれることになるため、非常に効率が悪いと言えます。
私の場合、研修時には手数料をクライアントが負担してくれたので、提示通り3,000円の報酬が入金されました。ですが翌月から急に「手数料は規約に基づきランサー負担となります。」と言い出しました。
規約通りとは言え、有無を言わさない突然の連絡でこれまでのやり方を急に変えてきたので、これまでの経緯も含めてついに我慢できなくなり、仕事をお断りさせて頂きました。
デメリットだけじゃない!クラウドソーシングで得たことも多い
始めた途端に嫌な目に遭ってしまい、クラウドソーシングなんで糞食らえだ!と言っているように聞こえるかもしれませんが、意外にもそんなことはありません。
今回の経験を通して、吸収することもとても多かったです。
背伸びした自分に追いつける
私が経験した通り、クライアントは誰に仕事を依頼するかコンペ方式でランサーを募ります。
その為か、ランサーは採用されるために自身の実績やスキルを多少盛ることで、採用される努力をします。当然、実績やスキルを盛った状態で採用されると、クライアントからはそれに見合ったレベルの仕事が求められます。
私も、嘘をつくことはないですが表現を工夫して盛った提案をしました。そうなると、クライアントも期待して裁量や難易度の高い仕事を振ってくれますので、ランサーとしても期待に応えようと奮起することができます。
このサイクルがとても良い好循環を促していて、結果、質の高い成果を上げる効果があったと感じています。
目的であるSNSマーケティングを学ぶことができた
「SNSは個人アカウントでやってるのでSNS運営は任せて下さい!」と強気でアピールしましたが、ビジネスとしてのSNS運営はやったことがなかったので、全くもって一からのスタートとなりました。
ですが、書籍を手に取ったりインフルエンサーのアカウントをチェックしたりして、SNSの種類ごとに役割があることやSNSでの発信の仕方など、多くのことを学びながら仕事をこなすことができました。
やる気があればクラウドソーシングでかなり稼げる
私が受けた仕事が、たまたま巡り合わせが悪かったように思いますが、それもわずか1/1,231,238件の話です。
仕事の種類が多岐に渡るので、仕事の数だけ質や報酬もそれぞれです。まずは初心者として始めてスキルを高めつつ、慣れてきたらクライアントの質や仕事内容を見極める力もよりついてくる為、しっかりと稼ぐことができます。
クラウドソーシングではたくさん稼ぐ程に手数料率も低くなるので、やるならガッツリ複数の仕事をこなすのがおすすめと感じました。
通常の会社員と異なり、パソコン一つで様々な仕事を行うことができますし、仮に病気や怪我で外に出れない状況でも、クラウドソーシングなら稼ぐことが可能です。クラウドソーシングの存在そのものが働き方改革と言っても過言ではありません。
クラウドソーシングを利用すれば、誰でもスキルを磨きながら生計を立てることが可能になるということです。
今どき、3万円そこらの金額でモバイルPCも買えちゃいますからね!
まとめ
クラウドソーシングだと複数の仕事を並行して行うことができますが、単発の小さな仕事を数多く引き受けるとなると、コンペ時の提案にかかる時間や仕事に取り掛かる前のメッセージのやり取りでかなり消耗してしまい、 私的にはいまいちと感じました。
ただ、コンペで自ら提案するだけではなく、信頼を高めて自然と仕事が舞い込んでくる方法も取れますので、上手く活用できれば本業にもなるし安定的な収益を生む副業にもできます。客観的に実績や評価を判断しやすい士業に携わっている様な方は向いているるのではと感じました。
私の実体験をもとに、あなたに見合った働き方のヒントが一つでも見つかってもらえたなら幸いです。
長文を拝読頂きありがとうございました。